Neumann U87 が「声をどう捉えるか」を決めたマイクだとすれば、Tube-Tech CL 1B は「声をどう仕上げるか」を決めたコンプレッサーです。デンマーク発、印象的なブルーのフロントパネルが目印のこのオプティカル・コンプレッサーは、世界中のトップスタジオで「良いボーカルの音」とほぼ同義語と言える存在。グラミー受賞エンジニアたちが選ぶボーカル処理の定番でもあります。
魔法のような「音楽的」なコンプレッション
CL 1B の最大の魅力は、その圧倒的な「音楽性」にあります。一般的なコンプではかけた瞬間に音が痩せたり、不自然な空気感が出てしまうところを、CL 1B は真空管回路ならではのシルキーで密度のある、アナログな温かみのある音を返してくれる ― だからこそ多くのエンジニアに愛され続けています。
透明感のあるゲインリダクション:かなり深めにコンプを掛けても音が破綻せず、自然な質感が保たれます。乾いた感じや潰れた感じが出ないのが大きな魅力です。
重心のあるロウエンド:低域を引き締めつつ厚みも与えてくれるため、ヒップホップやR&B、ポップスのボーカル処理で特にその効果が際立ちます。
操作と実戦での使い方
CL 1B にはマニュアル/オート切替式のアタック・リリースという独特な仕様があり、ダイナミックレンジの大きいパフォーマンスにも柔軟に対応できます。単にダイナミクスを「制限」するだけでなく、ボーカルそのものを「磨き上げる」感覚で、伴奏の上にしっかりと、しかし押し付けがましくない自然さでボーカルを浮き立たせてくれます。
VST に代表される DAW 内蔵のプラグインが主流となった今でも、ハードウェア版 CL 1B の地位は揺らぐことなく、極上のボーカル・サウンドを追求するすべてのエンジニアにとって、いつかは手にしたい「神機材」として今もなお君臨し続けています。
